2017/01/09

【2017・変わる建設産業】清潔トイレが副次効果も 快適な労働環境へ追い風で市場拡大


 2016年10月1日以降、直轄工事で「快適トイレ」の導入が義務付けられた。トイレのない現場に配属された女性技術者が困り果ててしまったという話もいまだにあるが、男女ともにきちんとしたトイレのある職場で働ける環境整備は一歩ずつ前進している。画像は国交省の「快適トイレ」タイプ別事例

 国土交通省が発行した『快適トイレ』の事例集には、条件を満たした76例のトイレが掲載されている。これらはいずれも排泄物の臭いが逆流しないようにするフラッパー機能があり、住宅街に置いても問題ないのは「平均点」。そこで付加価値的なサービスが焦点になっている。
 プレハブを利用した「ハウス型」では空気の流れがある広々とした室内に洋式便座が置かれ、着替えのできるフィッティングボードや休憩スペース、換気用の大きな窓などがある。
 移動式の「車載型」トイレには発電機を搭載して温水洗浄便座と室内暖房用が使える充実した設備がそろう。敷地に余裕がない場所で使う「ボックス型」でも夏場用のクーラーや専用のバイオ処理設備などを使って消臭する仕組みを取り入れている。
 現場の仮設トイレはレンタルが中心であり、災害時には避難所で市民が使うトイレになる。非常時に清潔で快適なトイレが提供できるという副次的な効果も期待される。

◆作業着に女性用商品

女性の体格に合った作業着・保護具も商品化されている

 現在、建設業における女性技術者は10万人程度だが、今後20万人まで増やそうとする動きがある。ほとんどの女性技術者は男性用作業着や保護具のSサイズを流用していたが、もともと骨格が違うため、あまり合っていなかった。
 実際、安全・衛生用品のミドリ安全の調査によれば、現場で働く女性の半数近くが、ユニフォームに対し「身体に合わない」と不満を持つ。そこで同社は建設業の女性に特化した保護具や作業服を開発し、昨年10月に商品化した。
 ヘルメットは外径を3-5%小さくし、髪を束ねる部分の縁を凹ませた。ハーネスは胸を横断する1本の紐を幅広のメッシュに置き換え、負担を分散させる。作業着も幅広で直線的な男性向けとは違い、ウェストがくびれたシルエットにした。着丈は長く、屈んでもインナーが見えにくくするなど、細やかな気遣いがある。女性が服に求める機能をリスニングした結果だ。
 「全体からすると女性向けは小ロットだ。すぐに大きな利益には結びつかない」とミドリ安全の働く女性応援プロジェクトを統括する池田和吉リーダーは語る。しかし、女性を受け入れる準備がある企業は、労働環境がきちんとしていると見てもらえる。「人手不足の今だからこそ環境整備が必要だ。そこに需要が生まれるのではないか」と見ている。
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