2016/12/09

【記者座談会】注目浴びる小池都政の「東京大改革」 入契制度改革は幅広い議論を


A 小池百合子東京都知事が誕生して4カ月が過ぎたね。

B 築地市場の豊洲移転延期や五輪競技会場の見直しでマスコミに取り上げられ、その姿をニュースで見ない日がないほどの注目ぶりだ。
C 「東京大改革」を掲げて知事選で大勝し、その公約を実現するため、就任後直ちに都政改革本部を立ち上げた。五輪競技会場見直しは、その都政改革本部に顧問として迎えた外部有識者を中心に進められた。
D 復興五輪を前面に打ち出し、ボート、カヌー・スプリント競技会場を東京臨海部の海の森水上競技場から宮城県の長沼ボート場への移転案を提言したが、都、国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、政府の4者のトップ級会談で当初の計画どおりに海の森水上競技場で落ち着いたね。
B 勢いよく土俵際まで追い詰めたつもりが、見事にひっくり返された格好だ。東京五輪の予算削減に関しては、舛添都政時代から検討を重ね、現在に至っており、当然の帰結といえる。会場の変更には、国際競技団体(IF)の許可が必要で、この間の経緯を知っているIFにしてみれば、今さら何を言っているのかというが本音だろう。
C ただ、海の森水上競技場は仮設レベルにまで整備費用を抑え、オリンピックアクアティクスセンターも観客席を2万席から1万5000席に減らすことが決まり、バレーボール会場は結論を見送った。そこに転んでもただでは起きないという小池知事の並々ならぬ執念を感じる。
D 2日の定例会見で記者が、五輪競技会場について「大山鳴動して鼠(ねずみ)一匹」と揶揄(やゆ)し、「ちょっと、それは失礼なのではないですか」と小池知事が気色ばむ場面が見られた。
B 小池知事は「鼠どころか、大きな黒い頭の鼠がいっぱいいるということがここで分かったではないですか」と反論していた。黒い鼠は金品などをかすめ取る身近な人のことを意味するが、その発言の後に「入札の方式はどうなのでしょうか」と述べていた。
A 入札契約制度への不満の表れともいえる発言だね。
C 入札契約制度も都政改革本部の内部統制プロジェクトチームで議論しているが、外部有識者の特別顧問団と都財務局の見解は平行線をたどっている。外部有識者の中には、見識を疑うような発言も見られ、先行きが危ぶまれる。
D 確かにWTO(世界貿易機関)協定に関する外部有識者の発言には驚いた。外国企業がWTO案件に参加しないのは、都がWTO協定との整合性を図る規定の整備が不十分なため、という内容だった。まるで規定を整備すれば外国企業が参入してくるような物言いだが、机上の空論で実態を分かっていない。
B 入札契約制度は手段であって目的ではない。都民の安全・安心を守るため公共事業の適正な執行が目的であり、入札契約制度は事業の確実性を担保するための手段に過ぎない。「ワイズスペンディング(税金の有効活用)」という受けがいい言葉を使って、安く調達するための議論に終始すれば、安物買いの銭失いとなりかねず、結局は税金の無駄遣いになってしまう。
C 7日に開かれた都議会定例会で、都議会自民党の崎山知尚政調会長が現在の入札契約制度のベースを検討した、「入札契約制度改革研究会」の学識経験者らとの公開討論を提案した。特別顧問団の考えは偏っているので、同研究会の学識経験者も含めた幅広い議論による適正な改革を願うね。
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