2016/12/10

【飛島建設】土木、建築そして農業へ! レタス工場参入で野菜工場事業を新たな柱に


 飛島建設が、2010年にグランパと共同開発したエアドーム型植物工場が農業ビジネスの事業領域を切り開こうとしている。これまでグランパの事業拡大に合わせ、植物工場の造成や建設を担ってきたが、山梨県北杜市で運営していたグランパのレタス工場事業会社「ドームファーム北杜」を10月20日付で譲り受け、参入を決めた。兼務する形で継承会社の社長に就任した大堀裕康経営企画室新事業企画部部長は「土木、建築に次ぐ新たな柱に育てる」と力を込める。

 JR小渕沢駅から南へ車で15分の場所に継承したレタス工場はある。近くにはサントリーの白州工場があり、南アルプスからの豊富な水が得られる立地でもある。「この水もレタス栽培にはうってつけ」という神谷直樹工場長も新事業企画部に所属していただけに、事業への思い入れは人一倍強い。「安定供給こそが工場の使命」と時間が空けば出荷の手伝いも率先して行う。
 8.3haの敷地にはエアドーム型植物工場が40基。現在は25基が稼働中だ。空気でドームを膨らませる仕組みのため、光を遮る構造材がない。円形水槽はレタスが内側から成長に合わせてゆっくりと回りながら外に押し出されていく仕組み。中央部に苗をセットしてから30日ほどで食べ頃となり、外周部分に運ばれてくるため、それを収穫する流れになっている。

1日5000パックを首都圏などに出荷

 現在は日産5000パックを首都圏を中心に出荷しており、取引先も20社に達する。それでもまだ年間売り上げで2億5000万円ほど。「安定して出荷量を引き上げ、5年後には6億円まで売り上げを伸ばしたい」と大堀社長は先を見据える。ただ、この6億円の数値目標は工場の売り上げを試算したもので、植物工場事業のパッケージ販売などは含んでいない。
 「プラス・アルファをどこまで増やせるかは分からないが、工場の実績が上がれば、植物工場事業者との連携も考えられる。ここを突破口に事業を拡大したい」(大堀社長)。現行中期経営計画では新事業領域の拡充を重点項目に掲げているが、具体的に動くのは本業の建設事業に関連したものばかり、農業分野への参入は同社にとっても未知数だが、成果次第では次期の中期経営計画に盛り込まれる可能性もある。
 現時点では定款に農業分野での事業が位置付けられていないだけに、定款改正が本格参入の旗印になると言えそうだ。販売するのはレタスのみだが、3年以内には新たな野菜も出荷したい思いはある。神谷工場長は「まずはレタスの生産ノウハウを蓄積し、品目を増やす。いずれは建設、販売指導、メンテナンスという野菜工場事業をパッケージで販売する姿も描いている」と説明する。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿