2016/11/13

【学生チャレンジコンペ】最優秀は藤原陽平さんら(広島工大)の「未来を支える大屋根」 空気環境のデザイン評価


 広島県がクリエーティブな人材の育成、県内の建築学生定着などを目的に毎年開催している「ひろしま建築学生チャレンジコンペ2016」の公開審査会が6日、広島市中区の県立美術館で開かれた。ことしは、県立広島工業高校の「野球部弓道部部室」を対象に「未来をつくる部室」をテーマに行われ、初めて高校生にまで門戸を広げ注目を集めた。審査の結果、広島工業大学の藤原陽平さん、林聖人さん、岡田直果さんの共同作品「未来を支える大屋根」=写真=が最優秀賞に選ばれた。今後は自身の作品を実現させるため、実施設計や工事監理に関わり、実践現場を体感する。

 公開した最終審査会は1次審査を通過した6作品の各提案者がプレゼンテーションし、審査委員からの質疑を受けるかたちで行われた。その後の審査では、審査委員それぞれが推す作品について熱い議論が交わされ、6作品から3作品に絞り、最終的に1作品を選んだ。最優秀以外の2作品を優秀賞とし、広島大学大学院、広島工業大学の学生が受賞した。
 注目された高校生の作品は、1次通過6者の中に県立広島工業高校の生徒の作品も含まれ、近畿大学大学院、広島工業大学大学院の2作品とともに、入選作品に選ばれ、大学生らに混ざって健闘した。また、惜しくも1次審査を通過できなかった作品の中から、審査員特別賞として県立福山工高と近大、近大大学院の3作品を選出した。
 審査終了後の表彰式では、審査委員長の乾久美子氏(乾久美子建築設計事務所)が各受賞者に記念のトロフィーや表彰状などを贈った。

乾久美子氏(右)から表彰を受ける受賞者

 最優秀賞の「未来を支える大屋根」は、同じ屋根が並ぶ校内の景観に浸透する広く延びた切妻の屋根と鉄骨造三角形フレームで支えられた屋根下スペースに、邪魔のない広がりを持った空間を構築することが大きな特徴。特に審査でも議論が分かれた部室という用途でありながら大胆な開放スペースを設けることの弊害については、カーテンやすりガラス、パンチングメタルなどを使い視線を遮るなど、プライバシーにも配慮した提案となっている。
 乾委員長は最優秀案に対して「空気環境をデザインしたことが素晴らしい。形でも何でもないというところに踏み切った点では、コンペのあり方としてとても新しいし、それが学生を対象としたコンペで提案されたことに驚いている」と高く評価した。
 野球部弓道部部室は県立広島工高の敷地5万9602㎡(広島市南区出汐2-4-75)にある既存の部室(木造平屋建て275㎡)を解体し、平屋建て170㎡程度で建て替える。工事費は3500万円(税込み)以下を想定している。今後は最優秀作品をベースに実施設計を委託し、完了次第、工事を発注する。学生は担当教員らの指導を受けながら実施設計や工事監理に関わる。
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