2016/11/07

【ベントレーカンファレンス2016】<1>BIMモデル制作過程でのビッグデータの活用に注目


 「これから10年でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)はIoT(モノのインターネット)と結びつく。データ活用の方法が進歩し、より効果的で低コストな建設と維持管理ができるようになる」。BIMの導入を進める英国政府は2015年にまとめた計画で「ブリテン・デジタル・デザイン」を掲げ、BIMの効能をそう位置付ける。同計画では17年までにプロジェクトの関係者全員が3次元CADを使用する「BIMレベル2」を実現する方針で、25年には全関係者が共通のBIMモデルを共有する「BIMレベル3」の実現を目指している。写真はグレッグ・ベントレーCEO

 BIM実用化に向けた道のりを着々と歩む英国・ロンドンで、ベントレーシステムズは1日から3日にかけてBIMの先進事例を表彰する「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー2016カンファレンス」を開いた。世界各国で同社の製品を使用したプロジェクトから選ばれたファイナリストが参加し、建築・道路・橋梁など各分野で最も優れたプロジェクトを選定した。
 カンファレンスであいさつしたグレッグ・ベントレーCEOは「より良いプロジェクト進行と資産価値の向上がBIMの力だ。この両者が融合することで新たな建設業・インフラストラクチャーの進歩が生まれる」と参加者に強調した。

プロジェクト紹介するファイナリストら

 今回特に注目が集まったのは、BIMモデルを制作する過程で収集したビッグデータの活用だ。単体の建築だけでなく、都市やインフラといった大規模なモデリング技術の発表は多くの聴衆を集めた。BIMの強みは属性情報を計画、設計・施工・維持管理で生かす点にあるが、膨大な情報をどう収集・管理するかは大きな課題だ。日本からも、早大の嘉納成男教授と大林組がリアリティモデリング部門に参加し、画像データのフォトグラメトリーと点群データを連携したプロジェクトを報告した。
 「(BIMで)コストとスケジュールを管理し、収益を増やせるのは当然だ」。ベントレー・システムズでSVPプロジェクト・デリバリーを務めるハリー・ビッテル氏はそう指摘する。
 属性情報の整理、正確な測量、現実的なモデリング、ビッグデータの分析、クラウドによる情報共有--。BIMの活用のあり方が多様化する中で、今後はそれらの技術をどう洗練するかが問われている。【ロンドン=飯田健人】
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿