2016/11/05

【現場最前線】「常盤橋街区再開発プロジェクト」始動! 1964年誕生の日本ビルヂング、2020年に向け生まれ変わる


 三菱地所などが東京駅日本橋口前に計画する「常盤橋街区再開発プロジェクト」が動き出す。11月の初弾解体着工を前に、プロジェクトの計画地となる東京都千代田区の日本ビルヂングの部分解体工事現場を24日、報道陣に公開。オフィスや公共インフラなど4棟総延べ68万㎡の大規模複合施設で、完成すると高さ日本一となる390mのビルを含む再開発だ。既存施設は民間ビルと公共インフラが一体化しているため、個別では機能更新できないという課題を、段階的に再整備することで解決していく。写真は解体準備中の日本ビルヂング
 解体工事は、新しい下水ポンプ場となるD棟の計画地にあたる日本ビルヂング北側からスタートする。既存施設の部分解体工事は大成建設が担当。残存部分の日本ビルヂング南側は耐震改修し、22年度までの5年間賃貸ビルとして稼働させ、3階から地下4階にある東京都下水道局の施設はD棟完成まで使用を続ける。
 解体工事前に、残存部分への解体工事の影響を最小限に抑えるため、北側と南側を完全に切り離す「躯体縁切り工事」を実施。両建物間を約7m離して躯体を伝わる解体工事の振動をシャットダウンするとともに、両建物に防音を施し、空気伝播(でんぱ)による影響も抑える。

解体工事の影響を最小限に抑えるため、北側(左)と南側を
完全に切り離す


 解体工事の事前工事では、残存部分と解体部分の境目に耐震壁を設置。次に解体部の地下にあった特高電気室を残存部とJXビル、JFE商事ビルに移設。その後、躯体縁切り工事を実施し、北側部分の解体工事に入る。

◆60年の歳月を経て再び最先端の街へ
 常盤橋の歴史は、国内初の民間による特定街区として、インフラ施設と民間ビルの一体的整備に端を発する。高度経済成長の需要を背景に当時として最新鋭のプロジェクトだったが、建設後50年が経過し、それぞれが更新時期を迎えた。しかし、複合化して建設したため、個別での更新が難しいという課題が挙がっていた。
 そこで、国の合同庁舎跡地を種地とし、新たな建物を建設後、その跡地を次の建物の建て替え用地として連続的に街区を更新していく大手町連鎖型再開発事業に第4次開発として組み込まれた。第3次開発の完成後に、常盤橋プロジェクトがスタートする。
プロジェクト前の断面図


プロジェクト後の断面図

 段階的な再整備の手順は、躯体縁切り工事をした日本ビルヂング北側を11月から16年度末までに解体。その跡地に17年4月から新ポンプ所となるD棟の新築工事に入るとともに、JXビルと大和呉服橋ビルの解体に着手。両ビルの地上解体後、18年度からオフィス、店舗からなる地下5階地上37階建て延べ14万㎡のA棟と、東京電力常盤橋変電所のある地下4階建てのC棟の改修工事に着手する。
 A棟は20年度末の竣工、C棟は27年度の改修完了を目指す。地下5階地上61階建て延べ49万㎡のB棟は、22年のD棟完成後、日本ビルの残存部の解体に着手。23年度から新築に着工し、27年度の完成を予定する。
 地下変電所のC棟の地上部には、大規模広場を設けるほか、北側のJFE商事ビルは24年度から解体し、隣接する常盤橋公園と一体整備する。
 1964年の東京五輪にあわせ当時東洋一の大規模ビルとして建設された日本ビルヂングが、折しも2回目の東京五輪を前に最先端施設として生まれ変わる。
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