2016/09/17

【吹抜けキャンディーズ】吹き抜けの照明計画は任せて! 専門器具やテクニック紹介するノウハウ集やセミナーで活躍


 「専門器具を持っていても、吹き抜けの照明計画は難しい」--。大光電機は顧客から寄せられる悩みを解決すべく、前芝辰二社長の発案のもと、吹き抜けの照明を得意とする女性照明デザイナー3人からなる研究ユニット『吹抜けキャンディーズ』(写真左から田中さん、古川さん、富和さん)を結成した。5月の“デビュー”と同時に、新製品や吹抜照明テクニックを盛り込んだノウハウ集『吹抜照明カタログ』を発刊。配布するだけでなくセミナーを開催してノウハウを訴求するなど、その活動が注目を集めている。
 リーダーの古川愛子さん(同社東京TACTデザイナー)のほか、田中幸枝さん(同)、富和聖代さん(大阪TACTデザイナー)に白羽の矢が立ったのは1年ほど前。古川さんは「もともと吹き抜けのセミナーをしてほしいという要望が多く、専門の器具はあってもどういう計画をすればいいかわからないという声もあり悩んでいた。3人集まれば何かできるのではないかと思った」と結成時を振り返る。早速「吹き抜けのノウハウ本を作ろう」と本格始動した。

「梁の上のせたろう」。高い意匠性と親しみやすいネーミングで好評を得ている

 ノウハウ本では失敗例の写真も数多く掲載しながら、床面や机上面を照らす「地明かり」と空間全体の「明るさ感」の両面を考えて、それぞれ目的に合わせた器具を紹介。掲載した新製品のうち特に好評を得ているのが、梁の上に乗せるだけで設置できる器具(通称・梁の上のせたろう)だ。器具の両サイドに光源を隠す幕板がついており、梁の上に乗せるだけで簡単に美しいコーブ照明が実現する。LED(発光ダイオード)照明のため、高さはわずか30mmの薄型設計を実現、意匠性も格段に高めた。親しみやすく印象的な器具名も手伝って、主に住宅リビングや高齢者向け施設などにも採用されているという。
 通常、梁のある空間はダウンライトを使用すると影が出てしまうという課題があるが、「開発段階ではなるべく器具を見せずに明るさをしっかり出せるよう試行錯誤を重ねた」(古川さん)。薄さと明るさのパワーの両立は難しく「見栄えをチェックするためにボール紙で模型を作ったり、長女が寝静まった夜中に夫の協力を得て、自宅リビングの梁に器具をのせて実験したこともあった」とも。
 吹き抜け空間は、暗くなるのが不安なあまり、ダウンライトやスポットライト、ブラケットを過剰に付けすぎて失敗する例が多いという。吹抜けキャンディーズの3人は「せっかくの空間なのだから、ただ空間全体を明るくするだけでなく、適材適所に必要な明るさは確保しつつ最大限美しく演出してほしい」と力を込める。挑戦は始まったばかりだが、すでに次号のカタログ考案も見据えている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿