2016/05/21

【JFEシビル】BIM活用を本格化 単なるプレゼンツールから全面導入へ舵切り


 「はじめの一歩を踏み出した」と、JFEシビルでBIM推進部長を兼務する建築事業部副事業部長の長田肇氏は、神奈川県藤沢市で施工中の学習塾・共同住宅プロジェクトを、そう表現する。同社にとってBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入した初の試み。このプロジェクトを足がかりに「導入数を着実に増やしていきたい」としっかりと先を見据えている。
画像は初導入した学習塾・共同住宅プロジェクトのBIMモデル

 同社がBIMを手掛けるきっかけとなったのは3年前。ある物流倉庫プロジェクトの受注に際し、施主が完成後の維持管理にBIMデータを活用する計画だったために提出を求められた。「結局、提出の実現はしなかったが、それを契機にプレゼンテーションツールとしてのBIMの使い方が始まった」と明かす。

左から推進部の井崎さん、小池さん、長田さん、オカンポさん、サルビオさん

 社を挙げてBIM活用に舵を切ったのは16年に入ってからだ。1月に建築事業部とシステム建築事業部の横断組織として、10人体制のBIM推進部を発足した。技術者不足を補うため、フィリピン現地法人リオフィル社に14年6月に入社した女性技術者のエイプリル・エム・オカンポさんと、15年9月入社のベブシャー・エル・サルビオさんのフィリピン人エンジニア2人も招き入れた。
 初導入したのは学習塾ステップが建設するS造4階建て延べ995㎡の複合施設。物流倉庫を強みに活動する同社では、規模が手頃で仕上げも含めてBIMをトータルで検証できる一般建築案件の洗い出しを進めていた。推進部の小池傑主任は「初めて実施設計まで含めて対応したが、BIMを使わなかったら、もっと時間がかかっていたのかもしれない」と振り返る。
 敷地は1mを超える高低差がある上、建築面積を最大限に活用したことから、プランの位置確認などが厳密にできたBIMの効果は大きかった。設計図面の整合性確認にも効果的で、15年4月入社で推進部の一員になった井崎梨那さんも「初めてだった建具表作成も無事にこなすことができた。次のプロジェクトにはもっと効率的にできそう」と手応えを口にする。
 同社は2016年度内に計3件のBIMプロジェクトを手掛け、5年かけ設計部門に全面導入する青写真を描く。3次元のモデリングは内製化を前提に推進する方針だ。長田氏は「今後は業務効率をいかに上げていくか。まだ従来の2次元設計の方が早いが、それを少しでも縮め、組織としての競争力につなげることがわれわれ推進部の役割でもある」と確信している。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿