2016/05/17

【熊本地震】新耐震の被害は「想定以上による被害か、配慮不足による被害か」分析必要 建築学会


 日本建築学会は14日、東京都目黒区の東工大で「2016年熊本地震」地震被害調査速報会を開いた。調査の概略を説明した福岡大学の高山峯夫教授は熊本城の重要文化財「宇土櫓」が今回の地震でも倒壊しなかった点を挙げ、「400年前の櫓に負けない耐震設計を考えるため、今回の震災を分析し、今後に生かす必要がある」と語った。

 調査報告では木質構造建物、RC造建物、S造建物、非構造部材、社会基盤施設などをテーマに熊本地震の被害状況を紹介した。このうち木質構造建物について報告した京大の五十田博教授は00年の耐震基準改正以降の建物でも倒壊が発生した点について言及し、「大破した建物では何らかの耐震設計上の配慮不足や施工不良が生じていた」と指摘した。その上で「想定以上の入力による被害なのか、配慮不足による被害なのか。安全・安心な暮らしのため、これから原因を明らかにする必要がある」と語った。
 RC造建物の被害状況を調査した東大の田尻清太郎准教授はせん断破壊や圧壊などの事例を紹介。「RC造建物では総じて40-50年前の古い建物に被害が集中している。ただ、新耐震基準の建物の一部にも被害があった」とし、引き続き詳細な調査分析に取り組む必要性を語った。
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