2016/03/09

【JIA東北住宅大賞】大賞は手島浩之氏の「劇団の家」 異なる要望がせめぎ合う空間を成立


 日本建築家協会東北支部(JIA東北、辺見美津男支部長)による第9回東北住宅大賞の大賞作品に、手島浩之氏(都市建築設計集団/UAPP)の『劇団の家』が決まった。このほか、優秀賞に4作品、奨励賞には6作品がそれぞれ選ばれた。5月27日に仙台市内で開くJIA東北支部建築フォーラム2016の中で表彰式を行う。

 応募35作品の中から、11月に実施した公開1次審査で現地審査対象11作品を選定。古谷誠章早大教授(審査委員長)や五十嵐太郎東北大教授らでつくる審査委員会が、3月3日から6日まで現地審査を行い、各賞を決めた。
 大賞の『劇団の家』は、仙台市内にある木造2階建て延べ199㎡の住宅。大学教員で劇団主宰者でもあるクライアントの稽古場という舞台創造と、生産(なりわい)のための事務所、自らと劇団員のための生活空間という施主の要望をせめぎ合いの中で成立させている。前面サッシュの建物は、高い防音性と換気のための大きな開口部という矛盾する要求をサッシの二重使用で対応。在来木造工法を採用し、性能を満たす最小限の材料と既成サッシュの製作限界で決まった各室の高さなど、防音性能や経済的合理性などさまざまな要因が生み出した建物の緻密さが評価された。

 大賞以外の入選作品と設計者(事務所名)は次のとおり(敬称略)。
〈優秀賞〉
斜光の家=蟻塚学(蟻塚学建築設計事務所)
西茂森の家=前田卓(アトリエタアク一級建築士事務所)
老方のいえ=渡邉浩昭(ひろ建築工房)
△(さんかく)の家(安齋好太郎、Lifestyle工房)。

〈奨励賞〉
山元町新山下駅周辺地区第2期災害公営住宅=鈴木弘二、鈴木大助(鈴木弘人設計事務所)
ファーマーズテラス-暮らしを愉しむ長屋=安達揚一(SPAZIO建築設計事務所)
蛭根の丘=花田順、花田直子(花田設計事務所)
O HOUSE=菊池佳晴(菊池佳晴建築設計事務所)
RICO=松下慎太郎、鈴木崇志(一級建築士事務所タスエス)
朽ちる家=稲見公介(稲見建築設計事務所)。
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