2015/11/10

【東亜グラウト】「ヒートライナー」で融雪も! 十日町市立西保育園で実証実験


 東亜グラウト工業は、下水管路更生工法と下水熱の回収技術を組み合わせた「ヒートライナー工法」の汎用性拡大に乗り出す。新潟県十日町市立西保育園の実証試験で室内空調としての有効性を確認したことから、12月から同園敷地内の融雪利用へと切り替える。冬季の光熱費、除雪作業の軽減は積雪寒冷地が抱える課題解消の一助となるだけに、全国的な注目はより一層高まっていきそうだ。

 融雪個所は園舎脇の駐車場の一部(対象面積13.5㎡)。同園の室内空調として利用していた下水熱を転用する。降雪強度(降雪処理能力)は1時間当たり3cmを見込む。
 具体的には、下水熱で暖められた不凍液をヒートポンプに引き込んで加熱した後、融雪用供給配管(架橋ポリエチレン管)を通って、約38度の不凍液が融雪放熱配管(同)を循環する=写真。
 融雪放熱配管の不凍液の出入り口と舗装路盤には自動計測器を設置し、温度変化を管理する。また、冬季の降雪日数は70日程度であるため、降雪感知自動センサーを設けて効率的に稼働させる。コストだけでなく、環境面にも配慮する。
 下水道熱研究事業(十日町市西保育園)路面融雪工事の工期は21日まで。十日町市の協力の下、共同開発した丸山工務所とのJVで施工している。12月1日から運用する。
 東亜グラウト工業の田熊章管路メンテグループ技術開発室兼管理グループ広報課室長は、空調利用から融雪利用への移行により「ヒートライナー工法は次のステップに進む」ことを強調。2015年度末まで融雪に関するデータを集め、16年度から空調と融雪で水平展開していく考えだ。
 また、ヒートポンプを使用しない同工法も開発中で、「積雪が少ない地域のロードヒーティングとして導入を図っていきたい」という。
 丸山工務所の森口敬造常務取締役は、融雪処理能力について、「日本有数の豪雪地である当地の一般的な数値に引けをとらない」と話している。
 ヒートライナー工法は、東亜グラウト工業が実績を持つ光硬化更生工法で老朽化した下水管を更生し、管底部に不凍液を循環させるパイプを敷設する。さらに光硬化工法でパイプを挟むようにライニング施工すると、汚水とは接触せずに下水熱だけを集めるシステムが完成する。
 今回の現場で利用している下水管の長さは56.7m(管径800mm)となる。
 西保育園での室内空調の実績は、冷房COP(消費電力1kWに対する冷却、暖房能力を示す値)が5.6-5.7、暖房COPが6.0。年間平均も5.8と「非常に良好な結果」(田熊室長)を示している。
 西保育園に室内空調を導入した際の動画ニュースはこちら
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