2015/08/28

【記者座談会】講師も生き生きする「けんせつ小町活躍現場見学会」、担い手確保の一手となるか

A 日本建設業連合会の「けんせつ小町活躍現場見学会」は大半が終了したが、取材した感想は。

B 7月24日の見学会は第1回ということもあり、テレビ局からも取材が来て関心が高かった。説明を聞きながら現場を見て回るだけでなく、モルタルを塗る、くぎを打つなど実際に道具や材料を手にする体験型を用意したことで、子どもだけでなく写真を撮っていた親にも好評だった。この現場のなでしこ工事チームはメンバーが10人で、リーダーはことし4月に入社したばかりの社員だった。年功序列を重視する男社会と対照的な人選は、女性目線で現場を変革していこうという意気込みが感じられた。
C 7カ所の見学会を取材したが、各現場とも子どもたちの安全にはかなり気を使い、体を動かせるイベントを企画していた。施工者側の熱意も伝わり、参加者は満足している様子がうかがえた。ただ、参加者が30人程度に対し、受け入れ側の女性は多くても10人程度のため、時間の制約もあって、けんせつ小町とよく話せた子どもと、そうでない子どもが目に付いた。女性が働きにくいという感じは受けないが、まだまだ人数は少ないという印象を強くした。
D 共通しているのは、体験型コーナーという工夫をしていることだ。やはり第1回が体験コーナーを設けたので、ほかの現場でも参考にして多くなったのかもしれない。日建連の担当者は、「体験の講師側になる女性や技能者が生き生きとしているのが印象的だ」と話していた。女性に限らず現場の技術者や技能者は直接、子どもと触れ合う機会が少ないから、目の前で子どもが喜んでくれると、やる気にもつながるのだろう。見学会への応募者はとても多く、全現場が募集人数いっぱいになった。好評だから、来年も実施することになるだろうね。
A ところで土木系専門高校と教職員で構成する全国組織、全国高等学校土木教育研究会(全土研)が20年ぶりに全国大会を開いた。どんな内容だったか。
E 土木系高校の教師が参加したパネルディスカッションでは、いかに土木への興味を生徒に持ってもらうかという課題や建設市場が新設から維持管理・修繕へ移行する中で、新たな土木教育のあり方も提起されるなど、教育現場の悩みも浮き彫りになった。
F 官民挙げて改正公共工事品質確保促進法(品確法)や制度変更を含め、担い手の確保・育成に取り組んでいる中で、将来の技術者・技能者となる職業人教育と送り出し側である専門高校が、産学官民で連携して知識と技術を組織的・計画的・継続的に習得する場の準備など、人材教育・育成を主眼にした4項目を大会宣言として採択したことは、建設産業界にとっても心強いと思う。
A そのほか特徴的なことは。
G 大会2日目の特別講演で、建設業振興基金の内田俊一理事長が、年代ごとの「暮らし満足度調査」結果を紹介したが、ちょっとショックを受けたね。調査によると、いまの20代の人たちの77.1%が、現状の生活に満足していると回答しており、世代別でも最も高い数字になっている。この10年間で14ポイントも増えているという。内田理事長はこの結果について、「人は将来に希望をなくした時に幸せになれる」という先人の言葉を引用しつつ、「希望を失った若者が増えている」との見方を示していた。これは職に就くことに対する若者の考え方の甘さが同時に、高い離職率につながっていると考えるのはうがった見方かな。
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