2015/04/18

【協和エクシオ】通信インフラを生かし観光・防災アプリ開発 多用な施設での活用見込む

協和エクシオが、観光地での情報提供サービスに力を入れている。通信インフラの施工を担ってきたことから、そのインフラが生かせるICT(情報通信技術)のソリューション事業を拡大させている。その核となるのが、観光と防災の情報を一体的に提供するスマートフォン向けアプリ『EX Travel』だ。栃木県日光市での展開や、修学旅行での活用トライアルなどを実施し、6日からは京都市伏見区にある醍醐寺で「京都醍醐寺ナビ」=写真=のサービス開始にこぎ着けた。

 京都醍醐寺ナビは、アプリをダウンロードすると、醍醐寺の由来や見どころを映像や音声でガイダンスする。GPS機能により、見どころに近づくと音声案内が自動的に開始したり、ルートの案内なども実施する。見どころの説明では、由来や歴史、桜や紅葉の名所などを示し、醍醐寺の理解を深めるとともに再び訪れたくなる仕掛けにもなっている。博物館などでも展示物の前で音声が流れる仕組みがあるが、GPSを活用して特定の場所で映像や音声が流れるのは初めてという。
 また、災害が発生した際はボタン一つで避難場所のマップを表示させ、土地勘のない観光客でも容易に誘導できる。こうした機能は、急増している外国人観光客にも対応できるよう、英語でのガイダンスも盛り込んだ。
 このベースとなった技術がアプリ『EX Travel』だ。醍醐寺に先立ち、2014年10月には、同社に業務を委託した日光市が「日光街歩きナビ」の提供を始めた。アプリをダウンロードして情報を得られるようにしたのは醍醐寺のケースと同じだが、日光は市内全体を対象に情報を提供。複数点在する文化財などの周遊性を高めている。また、オンラインでつながるため、緊急地震速報の発生時に避難情報も自動的に送信されるという特徴もある。
 同社は、日光のようにエリアを対象にしたサービスと、醍醐寺のようにピンポイントの施設を対象にしたサービスの両面で事業展開する方針だ。小園文典社長は「寺社のほか、博物館や動物園などでも展開したい」と多様な施設での活用をアピール。同社は、テーマパークや商業施設で店舗の場所や自分の居場所が特定できるようビーコンの設置とその活用も担っており、GPSの届かない屋内空間での適用が増えれば、こうした設備の活用も想定する。
 また、エリア単位のサービスと施設単位のサービスを組み合わせる方法も見込む。醍醐寺の場合、災害避難場所は醍醐寺境内の場所を示すが、「京都市とも連携し、市全体の情報提供ができると良い」(小園社長)と今後を展望する。施設単位での事業をきっかけにし、隣接地域の別の施設やその地域のエリア全体でのサービス提供といった事業の可能性を高めていく考えだ。
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