2014/12/01

【奈良の土砂災害復旧】崩壊土量900万立方m! 赤谷地区の対策現場を近畿地整が公開

近畿地方整備局は11月27日、奈良県五條市大塔町の赤谷地区で進められている大規模土砂災害対策の現場を報道陣に公開した。同地区では現在砂防堰堤の整備などが進む。ことし8月にも台風により斜面崩壊が発生したが堰堤が河道閉塞の浸食を軽減、整備効果を発揮した。施工は鹿島が担当している。写真は復旧作業中の2号堰堤。


 同地区では2011年9月の台風12号災害(紀伊半島大水害)の際に斜面が崩壊、川原樋川がせき止められ湛水池(天然ダム)が形成された。崩壊斜面の高さは600m、崩壊土砂量は約900万m3にのぼる。その後も12年6月の台風4号、13年9月の台風18号、ことし8月の台風11号により大規模な斜面崩壊が発生するなど、予断を許さない状況が今も続いている。

崩壊土砂量は約900万立方メートルにも及ぶ
発災直後からの緊急対策に引き続き、現在は本格的対策工事が進められている。河道閉塞部の浸食による水や土砂の流出を防ぐため、3カ所の砂防堰堤整備や床固工などを計画している。
 赤谷地区を始めとする紀伊半島大水害の復興事業を現地で指揮しているのが、近畿整備局の紀伊山地砂防事務所(奈良県五條市・桜井亘所長)。同事務所の林和彦副所長によると、ことし8月の台風11号により76万m3もの土砂崩壊が発生したが、ほぼ完成していた2号砂防堰堤(高さ12m)が一部被災しながらも河道閉塞末端の浸食を防ぎ、土砂や水の流出を低減させる効果を発揮したと説明する。
 2号砂防堰堤は現在も復旧作業中。このほかに2カ所(1号・3号)の砂防堰堤や床固工なども計画中で、16年度末までの完了が目標だ。

現場を見学するインタープリベンドの参加者
また、この日は奈良市で11月28日まで開かれた土砂災害に関する国際シンポジウム「インタープリベント」に参加した国内外の研究者ら約100人も現場を訪れた。
 紀伊半島大水害では奈良・和歌山・三重の3県で3000カ所を超える斜面崩壊が発生、1億m3にのぼる土砂が流出した。近畿整備局は12年4月に同事務所を開設、赤谷地区を含む計9カ所で砂防事業を展開している。
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