2014/08/24

【現場最前線】スパンバイスパン架設で3倍速施工! 圏央道桶川第2高架橋

埼玉県桶川市~久喜市の間で、蝶型形状のパネルを側面に施したバタフライウェブ橋の急速施工が大詰めを迎えている。東日本高速道路関東支社発注の首都圏中央連絡自動車道(圏央道)桶川第2高架橋(PC上部工)工事で、急速施工は、バタフライウェブを用いたリブ付きU形コアセグメントによるスパンバイスパン架設工法で実現。現場を指揮する三井住友建設・ピーエス三菱JVの横尾秀行所長(三井住友建設東京土木支店)は「固定支保工に比べて約3分の1の工程となる1カ月弱で1径間分の主桁を施工している」と胸を張る。

上下線合わせ9橋を架設する大規模な現場
同工事は、圏央道桶川北本インターチェンジ(IC)~白岡菖蒲IC間に位置する連続高架橋区間の桶川第2高架橋、桶川第4高架橋、下栢間第1高架橋、下栢間第2高架橋の各上下線計8橋に、菖蒲Aオフランプ橋を加えた合計9橋の上部工工事で、その総延長は3228m。主桁を架設する全75径間のうち、7月18日現在で約65%に当たる49径間が完了した。セグメントの架設が完了している16径間を含めると計65径間がほぼ終わり、全体の進捗率は約75%に達する。
 主桁の施工には、架設ガーダーを使って1径間ごとにセグメントを架設するスパンバイスパン架設工法を採用(桶川第2高架橋の一部は固定支保工で架設)。1径間分のセグメントをガーダーを使って8日サイクルで架設し、その後を追い掛けてPC板の敷設、床版の打設、壁高欄の施工を順次行っていくため、「一般的な固定支保工は1径間に3カ月程度を要するが、この工法は1カ月弱に短縮でき、各作業も輻輳しない」(横尾所長)。

バタフライウェブにより接着面積が減り、作業性が向上
セグメント内部
セグメントは、製作ヤードを架設地点に確保できないため、小山と茨城の工場で製作し、トレーラーで運搬。セグメントは一般公道を運搬するため、その重量が30tに制限される。セグメントの軽量化を目的に、上床版を後打ち施工するリブ付きU形コアセグメントとし、ウェブをバタフライウェブとすることでさらに軽くした。その結果、全断面セグメントに比べセグメント長を長くすることが可能となり、1径間当たりのセグメント数を21ブロックから14ブロックに減らすことができた。
 三井住友建設の中積健一土木本部土木設計部次長は「21ブロックでは1径間の架設に12、13日サイクルを要するが、14ブロックに減ったことで8日サイクルとなり、架設工程の短縮を図れた。また、セグメントの製作数や運搬回数の低減が実現した」と話す。
 現場には現在400人強が働いており、JV社員だけでも54人が従事。横尾所長は「職人の確保に苦労した」とし、「全線で工事が動いているときが一番きつかった。施工スピードが速いため、協力会社に早めに手配して来てもらった」と振り返る。
 優秀な技能労働者の高齢化と減少が叫ばれる中、プレキャストセグメント工法は現場の省力化に大きく寄与する一方、中積次長は「バタフライウェブの製作はもちろんのこと、セグメント製作にも高い精度が求められるため、工場での集中管理が最も重要になる」と指摘する。
 さらに「施工工程に合わせ、ほぼ同時進行で設計図面を作成したため、設計上の工程短縮に非常に苦労した」とし、「スパンごとに支間長が異なるため、セグメント長を微調整して対応した。このため、その上に載るPC板の長さも異なる。設計図面が間違っていたら現場が大変なことになるので、何回もクロスチェックを行った」と明かす。
 東日本高速道路会社との設計の打ち合わせは通常月1回のペースだが、「(急速施工のため)当初は毎週打ち合わせをお願いし、物事を決めていった。その判断が可能な高い技術力を持つ東日本高速道路会社の協力があったからこそ、急速施工が実現できた」(中積次長)と強調する。
 工期は2015年3月17日まで。横尾所長は「現場の社員や職長、職人とコミュニケーションをしっかり取りながら、より品質良く、最後まで安全に施工し、工期を確実に守る」と気を引き締める。
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