2014/07/09

【建築】建物がない「図書館」とは 佐藤総合が大阪の公園で実験

  佐藤総合計画関西事務所の有志が、設計者の立場から図書館のあり方を考える実験に取り組んでいる。少子高齢化といった社会情勢の変化やIT化などを受け、図書館に求められるニーズが大きく変化している中、本と机だけで構成された器のない図書館というユニークな試み。そこから見えてきたものとは--。

 「図書館って、そもそも何だろう」。きっかけは、関西事務所副所長・井下仁史氏が今夏発刊予定の図書館の設計業務に関する専門書に原稿執筆を依頼され、抱いた素朴な疑問だった。わき上がった疑問が脳裏から離れない井下氏。同事務所の若手スタッフに投げかけて見たところ、「実証実験してみましょうということになった」(井下氏)。
 集まったメンバーで議論した結果、机と本を並べただけで「器のない素の状態」から、何が起きるかを検証しようということになった。実験のフィールドは、近くの公園。本を介して新たな出会いが生まれてほしいとの思いを込めて、ジグソーパズルのピースをイメージしたベニヤ材のテーブルを作成し、そこにメンバーそれぞれお気に入りの書籍を1テーブル当たり6―7冊並べた。

2回目の実験のひとこま。本を介して、新たな出会いが生まれた
「おおさかとしょかん」と名付けた架空の図書館で、メンバー全員が「司書」を務めた。興味を持った道行く人が本を手に取り、話しかけてみた。そこから思いがけないコミュニケーションや出会いが生まれたという。  メンバーのひとり・大野竜也氏は「おせっかいな司書がいても良いと思った。本を通じて人がつながりあう力は大きいと改めて感じた」と振り返る。井下氏も「静的な空間だけでなく、動的な空間という機能もこれからの図書館には必要なのかも。気付かされることが多い」と説明する。
 これまで3月21日と5月24日の2回、実験を実施。休日限定となるため次回の予定も決まっていないが、「開催場所を変えてみるなど、今後も継続していきたい」と井下氏は話す。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

1 件のコメント :

  1. これは、大阪の、どこの公園でしょうか?

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