2014/07/14

【潜入】ダム好きトークライブ!「ダムナイト6」におじゃましてみた


 7月13日、東京・お台場のネットとリアルをつなぐ飲食店TOKYO CULTURE CULTURE(カルカル)で、「ダムナイト6」が開かれた。建設通信新聞の電子メディア局としては、この魅惑のダムナイトの全貌をお届けしないわけにはいかない!と、わたしKTが、局を代表して潜入することになった。
 今回のダムナイトは、ダムライターの萩原雅紀さんがコーディネーターとなり、マニアでダムカレーに命を燃やす宮島咲さん、ダム愛好家の星野夕陽さん、「DamJapan」管理人のダム王子・琉(RYU)さんの3人が、パネルディスカッション形式で、100人を超えるダムマニア兼観客の方を楽しませるというイベントだ。(※編注、琉さんのサイト名を間違って記載していました。修正済みです。すみません)

カルカルの入口

 ダムナイトの開始は18:00。KTが会場についた17:40には、すでに店内が満席状態。また多くの人がチキンダムカレーにむしゃぶりついていた。また、店の入口では膨大なダムグッズも販売されている。Tシャツを始め、ダムクッション、DVD、手ぬぐいなど、コミケも真っ青の品揃えに、ついKTも購入したのが「日本分断 商用電源周波数Tシャツ」だ。

「日本分断 商用電源周波数Tシャツ」

 このTシャツ、富士川(静岡県)と糸魚川(新潟県)ラインで分断された電源周波数によるセクト主義を周囲に表明するもので、ロゴは、かのオーストラリアのロックバンド「AC/DC」をもじってある。
 購入した後に気付いたが、サイズはSであった。一般的なおじさん体型のKTは着られない。翌日早速会社で、メディア局同僚のぞみさんに「おみやげだ」といって恩を売っておいた。


さて、会場入口にもどる。見てのとおり入場チケットは完売。当日券もまったくないほどの盛況ぶりだ。カルカルの下の階はZepp Tokyoというライブハウスだが、奇しくも韓流若手グループのライブだった。目的も手段もまったく違う集団が、上下の階でライブを繰り広げている。われらがダムナイトもおそらく負けてはいない。

カルカル内部

 初めて足を踏み入れたカルカル内部は、席の並び方が独特だ。横長のフロア中央にステージが鎮座し、それを中心に客席が配置されている。ステージ並びの席からはライブが直接見えないので、1-2人に1つずつ小さな液晶モニターが供される。なんという心遣い。さすがかゆいところに手が届いている。
 入口受付で「専門紙の建設通信新聞から来たKTです」というと、こころよく中に通していただいた。ライブの数日前に、萩原さんにツイッターのダイレクトメッセージという非常連絡手段で取材のお願いしたわれわれを、これまた気持ちよく通していただき、感涙の極みだ。ありがとう萩原さん。
 とりあえず楽屋で準備に追われる萩原さんと名刺交換。「思いついたことをしゃべっていきますので」と謙遜する萩原さんであった。そして横目で(このひとは誰だろう?)という感じのダム王子さんと目で挨拶を交わして(ダム王子さんは思っていないかも)会場へもどる。

ダムナイト6開始

 そして18:00。ついに魅惑のダムナイト6は幕を上げた。始めにカルカルの方がご挨拶。「当店、基本は飲み屋。エンタメとしてのプレゼンをお楽しみ下さい。ダムカレーは売り切れました。再度の仕込みを試みている」と切れのある言葉を頂いた。
 そして萩原さんから順にあいさつ。「細々とダムをまわり、やってきた。最近、自分の本籍地を宮ヶ瀬ダムの住所に移した」と暴露した。次いで星野さん。「始めは土木全般が好きだった。それがダムになり、この4年間で500基を巡った」とスピード記録を明かした。恐るべし。
 ついでダム王子・琉さん。「昔は太っていた」と、悪びれずに写真付きで告白してしまう。なかなかできることではありませんね。宮島さんは「ダムカレーでまちおこし」と、最近も増加するダムカレーへのオファーについて語る。
 みなさん、ダムへの思いを語り始めると止まらず、なんと自己紹介だけで30分以上が経過、だがこれはまだ序の口だった。

ダムの話は止まらない

 「白いダム」について。これが前半の講演要旨だ。群馬にある奈良俣ダムや、最近竣功(ダムは「竣工」ではなく「竣功」と書く)した岩手の胆沢ダム、長野の高瀬ダムのようなロックフィルダムは、下流川から見ると石積みの巨大な山に見える。石積みなので、竣功から年を経ると草が生えてきたりして色が変わってくる。ダムマニアの方は、これを「産毛が生える」と表現するそうだ。
 竣功したて、生まれたてのダムは、白く美しい。これはコンクリートを打ってできた重力式ダムでも変わらない。コンクリートダムでも、始めはきれいだ。いつでもきれいなものはいい。



Grande Dixence Dam Photo:Audrix
萩原さんは、海外のダムにも触手を伸ばしている。コンクリートダムとしては世界一高いダムとして有名なスイスのグランド・ディクセンスダム(Grande Dixence Dam)も訪ねたという。そしてディクセンスダムには公式ツイッター(https://twitter.com/GrandeDixence)があるのだが、萩原さんがネットで紹介すると、日本人フォロワーが増えたという。記者が14日に確認したところ、ダムナイトでさらに増えたのか、公式ツイートに「Aligato gozaimasu to all our new Japanese followers! 」というつぶやきが掲載されていた。恐るべし。
 後半も、さらなるダム知識の洪水は止まらない。まるでなにかが決壊したかのようだ。
 重力式、アーチ式の違い。マルチプルアーチ、バットレス型ダム、中空重力式などなど、入社以来20年、様々なダムの建設現場におじゃましているはずのKTの知識など、みじんに粉砕していただいた。
 気がつけばもう21:00。あっという間の3時間が過ぎ去った。初っぱなから「辛口ハイボール」などを飲んでしまっていたKTは、お代わりを繰り返し、ちょうど良い心地で、ダム4天王のディスカッションを堪能した。

これは、建設中におじゃました胆沢ダムの現場です

 今回のダムナイトで感じたのは、「ダム好きのみなさん。本当にありがとう」ということである。建設業界や発注行政は、いま本当に大変だ。なにが大変かというと、全部大変である。ダムは無駄、公共事業は無駄などと、ずっと言われてきて疲弊した。笹子トンネルの事故以来、社会インフラへのメンテナンスに少々お金を使うことが許されてきた感はあるが、基本的にインフラへの投資は逆風なのである。
 明治期以来、多くのダムが造られ、昭和30年代から電源開発投資のために、黒部ダムに代表される大規模ダムがつくられるようになった。とくに黒部ダムは、現在定年を迎えるくらいの土木技術者が、土木技術者をめざそうと思ったきっかけのダムである。当時は、全国民が完成を心待ちにしていた社会インフラだった。
 そうしたダムの役割を、きちんと理解していただけるダムマニアの方々には、感謝してもしたりない思いを抱く発注者や土木技術者は多いのだ。
 ダム好きのみなさん。そしてこれから好きになりそうなみなさん。これからもよろしくお願いします。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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