2014/06/28

【ウォシュレット】“お尻を洗う”東京五輪で体感して! TOTO、世界へPR

「世界各国の人々にウォシュレット(温水洗浄便座)を知ってもらうチャンスだ」。TOTOの喜多村円社長は東京五輪の開催に、強い期待を抱いている。累計販売台数は3月末時点で3600万台に達したが、海外ではまだ100万台に過ぎない。“お尻を洗う”という機能特性は使って初めて、その良さを実感できる。「2020年の東京はまさに体感の場であり、TOTOをアピールする場に他ならない」
写真は海外の展示場。

 ウォシュレットの普及は日本の生活習慣を大きく変えた。1980年の販売開始から一般家庭を中心に浸透し、近年は一般家庭以外にも急速な広がりを見せている。今ではホテルやレストランなどパブリック空間で導入される機会が多くなった。清潔なトイレは「お店を決める選択肢の1つ」であり、その要素としてウォシュレットの存在がある。
 カタログでは良さを伝えきれない体感型商品であるだけに、日本国内でも話題に火が付くまでには時間がかかった。「そもそも水回りの商品は買ってすぐに効果を感じるものではない。トイレもバスも5年、10年使って、ようやく本当の良さを理解してもらえる。パブリック分野に広く普及してきたのは、社会的に本当の価値を認めてもらえたからだ」と考えている。

喜多村社長
日韓共催ワールドカップサッカーの02年当時は、まだパブリックでの普及が進んでいなかったこともあり、訪れた人々に大きなインパクトは見いだせなかった。東京五輪では「選手村や各競技施設など個別プロジェクトへの採用はもちろんだが、街中の至るところで体感してもらえる機会を今よりももっと増やしていける」自信を持っている。
 勝算は大いにある。キレイ、清潔、快適性といったトイレのニーズは「万国共通」であるだけに、日本での体感機会が多ければ多いほど、良さを知ってもらうチャンスに直結する。欧米でウォシュレットの普及をけん引するのは、ビジネスマンや旅行者など日本への訪問者たち。特に長期滞在者が母国に帰ってからも使い続けるケースは引きも切らない。ある欧州の大手ホテルチェーンではオーナーが日本で体感したのを機に、建設中のホテル全館に導入を決めた事例もある。
 海外の中でも販売台数が急速に伸びている中国や台湾では、日本と同じように一般家庭から火が付き始めた。09年度に10万台で推移していた海外の年間販売台数は、13年度には約20万台へと倍増した。今期から4カ年の中期経営計画をスタートさせた同社はウォシュレットをグローバル商品に位置付け、社を挙げて世界各地域への本格的な普及に乗り出している。計画最終17年度には年40万台の販売を目指し、東京五輪と重なる次期経営計画ではさらなる拡大を戦略図として描く。

技術的にも進化を続けている
海外では米国、中国、台湾、ドイツ、フランス、英国でウォシュレットを販売し、既に20年の歴史がある。アッセンブル(組み立て)製品であるため、世界各地で需要が拡大しても供給面の対応はしやすい。衛生陶器と比べれば、ウォシュレットの販売台数は圧倒的に少ないだけに、そこに潜在的な需要が眠っていることは明らかだ。
 海外住設事業の売上高比率を17年度に25%、将来的に50%まで引き上げる計画を掲げる同社にとって、ウォシュレットは単に売るのではなく、あくまでも「選ばれる商品」と位置付けている。海外のブランド確立を下支えする“立役者”になれるか否か。喜多村社長は「東京五輪がウォシュレット販売の分岐点になる」と確信している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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