2014/04/28

【舞台】明日開演! 『その旅人は建設マン』 脚本家・川原田サキさんが語る

主演の柳野玲子さん
どうすれば建設業を若者が夢と希望を持って働ける場所にできるか--。人手不足が業界全体の大きな課題となる中で、建設現場で働く職人の魅力を発信する「建設マン.com」が総合プロデュースする舞台『その旅人は建設マン』が4月29日から公演を開始する。建設マン.com代表の山本勇一氏は「職人不足が問題になっている時代だからこそ、舞台を通じて職人のかっこよさを伝えたい」と強調する。脚本を担当した川原田サキさんに作品に込めた思いを聞いた。
 川原田さんの父は大手ゼネコン社員だった。「ドラフターと製図用シャープペンと変な形の定規」に幼少期から囲まれて育ったが、建設業の仕事について知る機会はこれまでほとんどなかったという。重視したのは、観客と同じ目線に立つことだった。「知識がないからこそ、自分が面白いと感じる内容を脚本にすれば観客も面白いと思ってもらえる」と考えた。
 主人公には建設業に無関心な新人女性CADオペレーターを据え、「建設業に関する知識のない主人公が成長する中で、観客が感情移入して見られるようにした」という。
 『その旅人は建設マン』が描くのは、いま、まさに建設工事現場で働く職人たちの姿だ。「建設業に対するダーティーなイメージを職人に注目することで明るいものに変えたい」と意気込む。社会からは「3K」と呼ばれ敬遠されがちな職場だからこそ、建設業の職人を特別な世界の存在ではなく、恋や仕事に悩む「普通」の若者たちとして描き出した。「演劇を通じて若い人に建設業の面白さ、魅力を伝えたい」とも。
稽古風景
ダンスや笑いを取り入れたエンターテインメントとして親しみやすさを前面に押し出す一方で、脚本ではその背景にある技能者不足や高齢化など、建設業の苦しい現実にも言及する。「建設業の真実を伝えるならドキュメンタリーが一番良い。演劇にすることの意味とは、それを見たお客さんが笑いながら楽しんで建設業の価値について知り、それぞれに何かを感じてもらうこと」だと力を込める。
 「いちばんの見所は主人公の成長だと思う。なぜ、主人公が成長できたのか考えながら見てもらえば、建設業の魅力も伝わるのではないかと思う」。
 そう語る自身もまた、今回の脚本を通じて建設業に対する見方が変わったという。「建物は建つものではなく、建てるものだと気が付いた。工事現場を覆う仮囲いの奥を知ることで、街にあるビルや道路を誰かが造ったのだと意識し、完成した建物や道路の向こう側にいる人間が見えるようになってきた」と。
稽古風景。「自分が面白いと感じる内容を脚本にすれば観客にも面白いと思ってもらえる」
と川原田氏
数多くのドラマ、映画などの脚本を手掛けてきたが、今回の脚本については「父と建設業の話ができるようになるとは思わなかった」とした上で、「仕事場で遊んでいた時に父が何をやっていたのかを長い時間を経て知ることができた。自分にとって愛情深い作品」と振り返る。これまで自分の作品を父親に見せたことは一度もないが、今回の公演には初めて父を招待することを決めている。
〈あらすじ〉
 「金ナシ・男ナシ・計画性ナシ」。三十路間近の崖っぷちCADオペレーターが、さまざまな建設マンと出会い建設業界の抱える問題と建設マンの生き様を知り成長する『笑い』と『感動』の物語。
 そして建設マンは大切な人のために旅立ちます。旅人のように向かうその行き先は……?
〈公演概要〉
 出演・柳野玲子さん、山下翔央さんほか。演出・山添ヒロユキさん。協賛・日本建設業連合会。公演日は29日から5月4日まで。会場は東京・中野のザ・ポケット。チケットは前売り・当日ともに3500円(税込み)で、ステージ紹介ポータルサイト「CoRich(こりっち)舞台芸術!」から購入できる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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