2014/04/10

【日緬の架け橋】ミャンマーの工科大卒生3人を採用 徳岡設計

前列左からカィンさん、ノさん、チッさんと徳岡社長
徳岡設計が、4月1日付でミャンマー国ウエストヤンゴン工科大の卒業生3人を正社員として採用した。徳岡浩二社長は選考理由について「基礎的な表現力」と「日本の技術を真摯(しんし)に学びたいという姿勢」を挙げ、「優秀な人材。日本で建築の心を学び、立派な建築家になってほしい」と期待を寄せる。
 採用したのは、カィン・ミャ・トゥンさん、チッ・ス・ルィンさん、ノ・ノ・アゥン・ルィンさんの3人で、いずれも女性だ。「漢字が特にむずかしい」(カィンさん)と、初めての日本での生活に多少の戸惑いもあるようだが、「身振り手振りでも何とか思いは伝わる」(チッさん)、「同じアジア人で米も食べる」(ノさん)と、大きな不安はないようだ。
 また、「自分はもちろん、ミャンマーの建設産業にとっても大きなチャンス。ミャンマーの発展にも寄与できるようがんばりたい」(チッさん)、「ミャンマーと日本を建築家として文化的につないでいきたい」(ノさん)、「本物の建築家になりたい」(カィンさん)と志も高い。
 今回の雇用の狙いは、ミャンマーの文化や風土に精通した人材の養成だ。徳岡社長は、近年日本の建設業の進出が相次ぐミャンマーでの事業展開について「安い労働力として現地の人を雇う企業が多いが、それではミャンマーにふさわしい建築をつくることはできない」と指摘する。
 3人は、正社員として同社の設計部署に配属され、ほかの社員と同じように教育を受ける。技術・知識が身に着けばミャンマーに戻し、同社が2013年に設立した現地法人「徳岡設計・ミャンマー」のプロジェクトに参加する計画だ。
 徳岡社長は「いまでは、日本の建築の意匠や設計に使用するツールなどは簡単に手に入る。しかし、建築設計はスタッフが意見をぶつけ合わせて創造するもの。ほかの社員と分け隔てなく育成することで、建築が完成していくプロセスや空気を肌で感じることができるだろう」と見ている。
 「次世代である彼女たちにも当社の『ゆずり葉』の精神を継承してもらい、世界に広げていきたい」。一方で「彼女たちはミャンマーという国を背負ってやってきている。その覚悟を刺激にして日本の代表として恥ずかしくない人間に育ってほしい」と既存社員を鼓舞する。「次の世代が活躍するころには、日本とミャンマーの交流もより活発になっているだろう。そのころには彼女たちが中心となり、両国の架け橋になってくれることを願っている」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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