2014/03/14

【記者座談会】士法改正で何が変わる? 活気付く関西に注目!

開業当日に14万人が訪れたあべのハルカス。大阪の「北高南低」の流れを変えることが期待される
A 5日に開かれた自民党建築設計議員連盟の第4回設計監理等適正化勉強会では日本建築士事務所協会連合会、日本建築士会連合会、日本建築家協会(JIA)からの共同提案を法制化する際の方向が議論された。
B 全体的な印象としては、3会の要望にほぼ沿う内容で議論が進んでいると受け止めていいようだ。日事連の三栖邦博会長も、士会連合会の三井所清典会長も、大枠は認めてもらえたという評価をしている。
C やはり主要3団体が共同でまとめた要望というのが大きい。士会連合会も日事連も建築士法に基づく法定団体だし、JIAと士会連合会は公益社団法人でもあるからね。

B 前回の会合では、日本建設業連合会が「書面による業務契約の締結の義務化」について、設計・施工一貫では設計終了後に契約が締結される実態を踏まえた弾力的な運用を求めていた。これに対して今回、国土交通省の井上俊之住宅局長が「現在の業態を変えるのは難しいという意見もあるが、この件には日建連に理はないのではないか」と指摘し、建築3会の要望を支持したのが印象的だった。
C 3会の要望以外では、「建築設備士」を法律で明記されることになった。建築設備士の建築士法上の現行規定は「建築設備に関する知識及び技能につき国土交通大臣が定める資格を有する者」という表現で建築設備士という資格者は建築士法上では存在していなかったわけだから、その意味するところは大きい。
B 定期講習の受講の促進を効果的に実施するため、建築士事務所の所属建築士を変更した場合の届け出義務を規定することも示された。その運用次第では建築士事務所の事務量の増大・煩雑化も懸念されるところだ。
A ところで高さ日本一となる「あべのハルカス」が7日に全面開業した。
D 百貨店、ホテル、オフィスなどが入る総延べ30万㎡超の施設だが、開業当日だけで14万人が訪れたという。テナントも9割以上埋まっていると聞いており上々の滑り出しのようだ。
E ハルカスが建つ阿倍野・天王寺地区は、近鉄、JR、地下鉄のターミナルで、大阪・梅田駅と難波駅に次ぐ大阪第3のターミナルだが、知名度では梅田(キタ)や難波(ミナミ)に及ばず、特に近年は13年に開業したグランフロント大阪を始め、キタに人気が集中する「北高南低」傾向が強かった。ハルカスと長年にわたる阿倍野再開発事業がこの流れを変え、にぎわいを取り戻せるかどうか興味深いところだ。
A 東京~名古屋間の2027年度開業を予定するリニア中央新幹線の大阪までの同時開業を目指す動きも本格化してきた。
E 名古屋以西ルートについてはまだ明示されていないが、その中間駅の設置場所をめぐり、関係自治体の綱引きも活発になってきた。国の基本計画や整備計画では、名古屋から奈良市付近を経由して大阪に到達するとされており、現在、奈良県では奈良市と大和郡山市、生駒市の3市が設置を要望。奈良県も各候補地を対象とする検討業務などを発注しており、今後経済波及効果などを比較検討し、中間駅設置が望ましい場所をJR東海に提案すると見られる。
F 京都府と京都市は奈良を経由するルートに反発し、「京都が新たな国土軸から外れることはわが国にとって大きな損失」と主張している。京都市は京都駅を通るルートにすれば経済波及効果が約810億円となり、奈良市付近ルートの約2倍になるとの試算結果を12日に公表。奈良県内の自治体がルートを一本化できない状況なども追い風として攻勢をかけている。今後も綱引きは続きそうだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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