2013/11/11

【建築】「負けた作品も掲載」 佐藤総合計画が新建築10月別冊で特集

新建築10月別冊の『佐藤総合計画-コンペ・プロポーザルで時代に提案する』が話題を呼んでいる。1952年の日本銀行金沢支店のコンペから海外作品の深●(土へんに川)湾体育館まで、建築の戦後史を彩る佐藤総合計画の諸作品の中から50点以上をセレクトして掲載、コンペ・プロポーザルを制した作品だけでなく、新国立競技場など落選した作品も掲載しているのが特徴。
 細田雅春社長は「勝つためには、負けることも重要。負けると勝ちが見えてくる。次につなげるために負けることも組織的には重要。負けることで、世間がどのようなものを受け入れるのか、われわれとどのようなギャップがあるのかが見えてくる」と言う。

 この作品集の冒頭を飾るのは、創業者・佐藤武夫渾身の日本銀行金沢支店だ。7者参加のコンペで第1位となった。大胆な列柱のファサードと箱をイメージする重厚なデザインの新古典主義。ところが当時の日銀総裁がこれに拒否反応を示し、審査委員長の岸田日出刀は抗議して日銀顧問を辞任、佐藤武夫も当選案を回収し賞金も拒否する騒ぎに。オーナーの好みがコンペの著作権をないがしろにする「事件」であり、あえて冒頭に持ってきたところに、妥協せぬ佐藤イズムを打ち出している。
 初期の「新潟市庁舎」、最新作の「東京大学クリニカルリサーチセンター」など時代と地域・都市を表現した作品群は刮目(かつもく)に値する。
 表紙のモノクロトーンと大文字の「PROPOSE TO THE FUTURE」のブックデザインも異色だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)



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