2013/09/21

【技術】デジカメで球体パノラマ画像生成 大成建設の「T-Siteview」

大成建設が開発した、建物内観のパノラマ記録システム「T-Siteview」がさまざまな場面で活躍している。同システムは、デジタルカメラで室内の全方位を自動的に連続撮影し、パソコンに取り込んだ後、簡単な操作で上下左右360度の空間を球体パノラマ画像として生成する。


◇20分で手軽に可視化
 わずか20分程度で空間情報を手軽に可視化でき、その場にいるような臨場感で計画、検討が可能になる。顧客と担当者が同一画面を見ながら検討することで認識の共有化も図れる。天井設備の耐震対策検討や、歴史的建造物の記録保存で効果を発揮しており、調査から維持管理までのあらゆる段階で効率的な計画立案を強力にサポートする。
 使用機材はデジタルカメラ、パン・チルト自動制御装置、三脚だけ。いずれも汎用品で対応可能。縦8枚、横11枚の計88枚の写真をデジタルカメラで撮影後、パソコンに取り込み、ソフトウエアで自動生成するだけで3次元的なリアルな空間を提示できる。
 ズームアップや2点間の寸法計測、ウォークスルー機能にも対応し、多地点撮影で死角をなくすことにより、従来の1地点撮影では対応できなかった壁や柱の裏側なども確認できる。

◇天井裏のチェックも

 東日本大震災発生後は、天井の地震対策ニーズが高まっているが、天井裏の調査は狭小な開口部からの撮影など、作業の繁雑さがネックになる。同システムを使えば作業効率が大幅に向上し、図面や通常の写真では理解しにくい天井裏の現況を視覚的情報として顧客と共有しながら必要な対策が検討できる。空港施設、ホール、工場などで運用した結果、いずれも天井内の状況がわかりやすく、意思決定に効果的との評価を得た。2013年度は天井対策で、約100件の相談を見込んでいる。
天井裏でも威力を発揮する



◇歴史的建造物も復元

 歴史的建造物の保存復元工事では、解体・復元作業を行う際の繁雑な部材管理の効率化にも力を発揮する。既にクラシエフーズが所有する旧新町屑糸紡績所(群馬県高崎市)の記録保存に実適用し、有効性を確認している。
 建物の施工過程でプロセスごとに時系列のデータを残せば、作業後に隠れる使用部材も詳細に把握できる。CAFM(コンピューター・エイデッド・ファシリティー・マネジメント)とBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データとの連携で、施設や部材などの属性情報、修繕実績などの情報を3次元的視点で確認することが可能だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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