2013/09/08

【本】ジュンク堂ベスト10の『すごい!日本のダム』-巨大建造物の魅力と仕組みに迫る-

ジュンク堂書店の7月土木建築書ベスト10に入った。ダム型式別とか規模順でなく、「日本一」「放流が美しい」「観光で行きやすい」「歴史がある」「造形美で異彩を放つ」--の5テーマに沿って選りすぐりの40ダムを紹介。「このダムに行きたい」と思い立った時に必要な情報と、仕込んでおきたいミニ知識が詰まっている。

 著者は「ダムの秘密調査団」を名乗る。ダム本の著者なれば、専門家を除けば、近ごろ脚光を浴びる「ダムマニア」かと思いきや、さにあらず。
 売れ行き好調を聞き付けたダムの総本山・日本ダム協会が、出版元と著者にインタビューした。
 それによると、コンビニエンスストアの雑誌棚に並べた戦略が当たったという。写真を多用するなどビジュアルを重視。気軽に買える価格帯に設定すれば、コンビニが扱わない「書籍」ジャンルでも、「雑誌」気分で手にとってもらえるのではないかと考えた。
 ターゲットとしたのは、ダムマニアのようなもともと関心がある層ではなく、コンビニユーザーであり、ダムを特段意識したことのないライトユーザーだ。
 近ごろのダム見学ニーズに応えて堤体内部が見学できたり、観光放流の実施、ダム湖で遊べるところもできた。ダムカード、ダムカレー、ダムツアーなるものも出現。映画ロケ地になるのだから結婚式を挙げるカップル(ダム婚)だって現れるかもしれない。
 管理ダムに、エンターテインメントの対象としての可能性が広がる。そのことをこの本が示している気がする。
 (PHP研究所・680円)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


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