2013/06/18

【荒瀬ダム撤去】フジタが「FONドリル工法」を導入

フジタは、熊本県企業局が発注した荒瀬ダム本体等撤去工事の第1段階となる水位低下設備工事(放流工)に、同社保有技術の「FON(Fast Onside and Non-pareil)ドリル工法」を採用した。ダム堤体に長さ17mの矩形トンネル2本を掘削し、10日から放水を始めた。ダムの撤去工事に同工法を採用するのは今回が初めて。堤体構造に影響を与えず、渇水期だけの施工という制約がある中で、迅速で高い施工性を確保した。


◇全国初のダム撤去

 荒瀬ダム(熊本県八代市坂本町荒瀬)は、球磨川河口から19.9㎞に位置し、発電専用の可動堰付き重力式コンクリートダムとして1955年3月に竣工した。2010年3月末の水利使用許可期間満了に伴って発電を停止し、ダムと取水施設、放水路を約6年かけて撤去する。大規模ダムの完全撤去は全国でも初めて。
 ダムの撤去に当たっては、下流側に施工ヤードを確保するため、上流側水位の低下が必要だが、荒瀬ダムは上流水位を低下させる設備がないことから、ダム堤体に高さ4m、幅5mの矩形トンネルを構築し、ダムの底から水を抜くことで、河川流の越流を防止する。
 放流工は、既存の堤体内にトンネルを構築することから、堤体構造に影響を与えない設計、施工が求められた。FONドリル工法は汎用機械を使って、効率的に連続性の優れた深さ1.2mの人工的な溝(自由面)を形成する。自由面によって周囲のコンクリートと縁を切り、放流工周辺のコンクリートに影響を与えない掘削を実現した。


掘削が完了した
◇2本の矩形トンネル

 2本の矩形トンネルの長さはともに17mで、うち15.3mを同工法によって施工した。上流貯水池堤体撤去時に岩盤が見つかったため追加工事が必要になり、残りの1.7mは小型機械で施工した。
 荒瀬ダム本体等撤去工事の概要は、撤去延長約158m(躯体長約210m、堤体積4万7167m3)。構造物撤去工(ダム堤体取り壊し)2万7012m3、導水路トンネル埋め戻し1万7736m3、運搬処理工(産廃処理)9276m3。
 全体を6段階に分けて解体し、13年度は第2段階のゲート、右岸門柱・管理橋撤去などを進める。施工はフジタ・中山建設JVが担当する。工期は12年4月1日-18年3月20日。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月18日

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