2013/04/08

【まちづくり】区長が語る防災対策 荒川区長 西川 太一郎氏

 
荒川区は木造密集地域が全体の約6割を占めており、都の被害想定によれば、地震火災により最大で区内約5500棟の建物が被害を受ける可能性がある。西川区長は「火事さえ防ぐことができれば、区民や各種企業・団体と連携した復旧作業にあたることができる。火事を出さないことを最優先とする」と話し、火災の原因となる木密地域の解消や道路の拡幅、初期消火装置の充実など燃えにくいまちづくりに注力する方針を示す。


◇木密解消で燃えにくい街へ

 喫緊の課題である木密地域の解消に当たって、2013年度は都の不燃化特区制度を活用した整備を加速する。先行実施地区に選定された荒川2・4・7丁目地区において建替助成金事業の創設、老朽空き家住宅除却事業の拡充、移転者用の賃貸住宅建設などを実施する予定だ。
 特に老朽空き家については「震災という切り口で見ると、老朽空き家は道路閉塞の原因となったり火元となる可能性があるなど、複合的なマイナス要因になっている」と、積極的な除却に取り組む。
 一方で、木密地域の解消には課題も多くあるという。区内には借地が多く権利関係が複雑なほか、権利関係の整理に当たっては「住み慣れた土地を離れたくない」「周囲の方が親切にしてくれる」などといった住民の「情」に配慮する必要があるからだ。西川区長は「木密対策は周辺地域の防災性も高める重要な事業だ」とした上で、権利関係の調整を円滑化するため、自治体首長の権限を強化し、権利関係の問題に介入できるような法整備を国に対し求めていくという。

◇地元建設業は使命感持って

 荒川区建築業連絡協議会とは、重機を用いた道路閉塞の除却、公共施設の応急復旧など災害出動についての協定を11年10月に締結した。「木密地域の不燃化促進は、地元の建設業者がフル稼働する良いビジネスチャンスが生まれる。新たな防災のまちづくりに使命感を持って参加してもらいたい」と、区内業者に対して地域経済の活性化と災害の初動対応の両面で期待を込める。
 そのためにも「最近は自治体が発注する工事の現場における労働環境について注目されるようになってきている。社会保険や建設業退職金共済制度への加入など、区が発注する工事を請け負う事業者として社会的責任を伴った経営を心掛けていただきたい」と求める。
 今後、まちの不燃化を促進するためには「建築物の不燃化に協力した住民に対し税制面の優遇などのインセンティブを示すことが重要」であるとも語る。将来的には、私費を投じ不燃化に協力した住民に対して、国や都による消費税や不動産取得税減免などといった措置についても検討していく方針だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年4月8日
 

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