2013/04/07

【現場の逸品】油を使わないアスファルト合材用付着防止剤

ダンプトラックに散布するアスファゾール
「単月の販売実績は前年を2倍近く上回っている」と胸を張るのは、日油の油化事業部で営業担当を務める浅倉一巌さん。2009年からアスファルト合材の付着防止剤『アスファゾール』を販売してきた同社では、12年夏に新製品『アスファラブ』を市場投入した。「実はこれが予想を上回る勢いで、好評を得ている」そうだ。

◇従来の軽油は安全面に課題

 アスファルト合材は製造から輸送、施工に至る各過程で、金属表面などに付着してしまうため、それを事前に防止する対策がとられている。その対象はプラント設備から、運搬ダンプ、アスファルトフィニッシャー、スコップ、作業靴まで多岐に渡る。道路舗装業界では欠かせない対策の一つだ。
 これまでは付着防止として鉱物油が使われてきたが、環境負荷が大きく、NEXCOを始め発注者側の中には使用禁止にする動きが広がっている。自治体にも拡大しているものの、鉱物油を使うケースはまだ多いのが実情のようだ。現場の大半では軽油を散布しているが、軽油の引火点は45度以上となり、150度に達するアスファルト合材の取り扱い温度より低く、安全面で課題があった。さらに軽油は消防法危険物第四類第二石油類に該当し、保管量の制限を受けてしまう。


左から何もしない状態、軽油を塗った場合、アスファゾールを使った場合
◇油分一切なし

 日油の付着防止剤は、天然油脂由来物原料を主成分に使っており、油分は一切入っていない点が特徴。防止剤は水に薄めて使い、希釈率は7-10%。「競合メーカーは10社ほどあるが、油分が含まれていないのは当社だけ。一度溶けてしまえば、分離しない」とは浅倉さん。分解性が高く、エコマーク認証も受けている。NETISにも登録済みだ。
 『アスファゾール』は、ダンプの荷台に撒くN-02、プラント設備向けのN-03の2種類。水で薄めた防止剤をペットボトルや噴霧器などを使って、アスファルト付着面に散布するだけ。使用量は10tダンプトラックの荷台で2-5リットルが目安となる。これまでは使用場所に応じて使い分ける必要があったが、12年夏にはいずれの用途にも使えるマルチな付着防止剤として『アスファラブ』を発売した。汚れを落とす効果もあり、売れ行きは好調に推移している状況だ。
 この分野で3割程度の販売シェアを持つ同社では、新東名を始め高速道路の半分以上で採用実績があるという。12年11月からは付着防止剤用の不凍液『AF-1』の販売もスタートした。冬場には希釈後に溶液が凍ってしまうケースもあり、それを補う対策として現場からの要望も高かった。浅倉さんは「付着防止という地味な商品だが、今後も現場の声を反映していきたい」と強調する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年4月3日

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