2013/02/21

【起工】赤プリ跡地とりそな・マルハビル 大型2事業が本格始動

赤プリ跡地に建設される紀尾井町計画
東京都心部で都内有数のビッグプロジェクトが本格始動した。東京都千代田区の旧グランドプリンスホテル赤坂跡地を開発する「(仮称)紀尾井町計画」と、同区大手町のりそな・マルハビル跡地に建設する「(仮称)大手町1-1計画A棟」新築工事だ。ともに20日、起工神事が行われ、工事が本格化した。完成すれば都心部の国際的業務機能を強化するとともに、緑豊かなコミュニティー空間を創出する。

◇赤プリ跡地 西武プロパティーズの紀尾井町計画

 西武ホールディングス(HD)の子会社・西武プロパティーズが東京都千代田区の旧グランドプリンスホテル赤坂跡地を開発する「(仮称)紀尾井町計画」の起工式が20日、現地で開かれた。弁慶濠などの緑が多く残り江戸時代以降の歴史性を有する一方で、利便性の高い紀尾井町の地に、“国際色豊かな複合市街地"の形成を目指し、旧李王家東京邸を保存しつつオフィス・ホテル棟と住宅棟の2棟総延べ約22万7200㎡を整備する。設計・監理は日建設計、施工はオフィス・ホテル棟を鹿島・鉄建・熊谷組JV、住宅棟を西武建設・大林組・前田建設工業JVが担当。外装デザインはコーン・ペダーセン・フォックス(米国)が務める。2016年5月の竣工、同年夏の開業を目指す。
 オフィス・ホテル棟はS造で制振構造を採用。1-4階に商業施設、5-28階にオフィス、30-36階に客室数約250室のホテルを設ける。高さは約180mを想定している。住宅棟は高強度RC造で免震構造を取り入れる。高さは約90m、総戸数は約130戸を想定。
 環境面では、地下にインフラを整備することで、弁慶濠から清水谷公園につながる広大な緑の空間を創出するとともに、商業ゾーンにオープンテラスを整備する。オフィス・ホテル棟にLED(発光ダイオード)照明やLow-E(低放射)ガラスなどを採用し、国内の建築環境総合性能評価システム「CASBEE」最高評価であるSランク認証の取得を目指す。
 防災面では、オフィス・ホテル棟に強固な上総層群を支持基盤とした制振構造を採用。オフィスでは72時間の運転ができる非常用発電機とテナント用非常電源スペースを確保し、入居者のBCP(事業継続計画)をサポートするほか、井戸水を活用した施設内外への上水の安定供給や防災備蓄スペースなどの充実を図る。
 同日の起工式では、斎鎌(いみかま)を日建設計の岡本慶一社長、斎鍬(いみくわ)を西武ホールディングスの後藤高志社長、斎鋤(いみすき)を鹿島の中村満義社長、西武建設の宮本文夫社長、また玉ぐしを西武プロパティーズの安藤博雄社長がささげ、無事故・無災害での完成を祈念した。
 その後、西武ホールディングスの後藤社長は「由緒あるグランドプリンスホテル赤坂に負けないような建物を造り、しっかりと地元に根付かせたい」と意気込みを語った。
 建設地は、赤坂見附、永田町駅などに近接し、地下鉄5路線が利用できる同区紀尾井町1の敷地約3万0400㎡。
 豊田省治所長(鹿島)の話「このような大プロジェクトの現場所長を拝命し、重責に身の引き締まる思いとともに光栄に感じている。近隣の皆さまや環境に配慮しながら、日建設計のご指導のもと、西武プロパティーズの意図を体した“よい建物"を無事故・無災害で引き渡したい」
 島田修所長(西武建設)の話「関係者とコミュニケーションを密にして、お客さまに満足していただける建物を引き渡すことはもちろん、JV構成会社一丸となって最高の技術とサービスを提供し、事業の成功に貢献できるように最善を尽くす」

◇三菱地所とJXホールディングスの「大手町1-1計画A棟」

大手町1-1計画A棟
三菱地所とJXホールディングス、大手町デベロップメント特定目的会社が共同で、東京・大手町のりそな・マルハビル跡地に建設する(仮称)大手町1-1計画A棟新築工事の地鎮祭が20日、現地で行われた。隣接する三菱東京UFJ大手町ビルとの一体的な建て替えとして、2棟総延べ約25万5000㎡の大規模複合ビルを建設する同計画。2015年11月には、皇居大手門前で外苑濠に面する一等地に、日本経済をけん引する高度な国際的業務機能を備えたオフィスビルA棟が誕生する。施工は鹿島とNIPPOで構成する大手町1-1計画A棟新築工事JV(代表・鹿島)。設計監理は三菱地所設計が担当した。
 A棟の規模は、S・SRC造地下5階地上22階建て塔屋2層延べ約10万8000㎡。1階には環境ビジネスを行う国内外の企業・人材のマッチングを促す拠点として、交流、啓発施設「ビジネス・エコシティ・センター」など、多様な業務支援施設を整備する。
 また都市環境の再構築を目的に、皇居に隣接する立地特性を生かして、官民連携で計画地内に濠水の浄化施設と大型貯留槽を整備。外苑濠の水質改善を図る。
 この日の神事では斎鎌(いみかま)を三菱地所設計の小田川和男社長、斎鍬(いみくわ)を三菱地所の木村惠司会長、JXホールディングスの木村康会長、斎鋤(いみすき)を鹿島の中村満義社長、NIPPOの山縣由起夫執行役員副社長が入れ、三菱地所の杉山博孝社長らが玉ぐしをささげて工事の安全と円滑な進行を願った。
 その後、杉山社長は「強力なパートナーシップのもと、日本を代表する建物としたい。完成に向けて、持てる英知と匠の技を遺憾なく発揮してほしい」と述べた。小田川社長は「アウトフレーム工法を採用することでエリア最大級の大型オフィス空間を実現し、外壁ルーバーや高性能設備機器などを採用して環境面にも配慮した。彫りが深く落ち着いた風格ある外装としたことも特徴」と設計意図を説明。
 中村社長は「大変重要な事業に参画できて光栄だ。期待に応えるべく、施工各社で一致団結して無事に引き渡す」と決意を述べた。
 建設地はパレスホテル北側にある千代田区大手町1-1-2ほかの約6900㎡。隣接する三菱東京UFJ銀行大手町ビル跡地(大手町1-1-1)に三菱地所が単独で建設するB棟は、16年度末の完成を目指して着工に向けた準備を進めている。高層階にビジネスを主体とした中長期滞在に対応する宿泊施設としてサービスアパートメントを設ける計画だ。
 吉岡伸明所長(鹿島)の話 「難易度の高い工事に身の引き締まる思い。敷地内地下を東京メトロ東西線が弧を描くように横切っているため、それをまたいでメガトラスをかけて高層部を支えるなど工夫している。また、既存建物の地下が26mだったのに対し、新棟は35mとなるため、地下解体を進めながら掘削し、逆打ち工法を採用して地上部の工事も並行して進めていく」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月21日 4面

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