2012/11/11

【現場!!】東京外環自動車道千葉区間・国分工区


◇底版打設がスタート

 東京外環自動車道千葉県区間の東日本高速道路が施工を担当する区間では、昨年6月に掘割4工区すべての工事発注が完了した。現場では底版のコンクリート打設が始まり、日増しに活気が出始めてきた。大規模な掘割区間を施工中の「国分工事」について、発注者の河島好広東日本高速千葉工事事務所長、青澤正樹国分工事長、工事を担当する鹿島・大林組JVの小土井満治所長に意気込みを聞いた。


現場に設置された生コンプラント
◇品質確保へ自前プラント
 国分工事は、千葉県市川市堀之内1丁目から国分1丁目までの長さ1827mに、最大躯体幅50・6mもの掘割構造を構築する。掘削土量は約83万m3。東京ドームの0・7個分に相当する。東日本高速道路が施工を担当する掘割区間の4工区の中では一番早く発注されたため、既に底版コンクリート打設が始まっている。
 この工区の特徴は「コンクリートの品質を確保するために、現場内に設置したバッチャープラント」(青澤工事長)だ。外環千葉県区間全体を通して、大量の資材や掘削土の搬出入が発生する。国分工事では、一般の交通に極力影響を与えないよう長大な工事用仮橋が活躍する。また、周辺住民に配慮して、工事用道路は制限速度を10㌔としている。
 「場外からコンクリートを運搬すると時間がかかりすぎ、品質の低下が懸念される」(同)ので、自前のプラントを設置した。1時間に108m3、1日最大500m3の生産能力を持つ。これは一般のプラントにも引けをとらない。10月中旬から底版コンクリートの打設を始め、当面は週1回のペースだが、今後は構築範囲の拡大に伴って打設回数を増やす。

仮柱の柱列が道路線形を浮かび上がらせる
◇地下水との闘い
 国分工事区間では本格的な施工に先駆け、2005年から4年間で躯体の試験施工が行われた。一例を挙げれば、約50cmも掘ると地下水が出てくる地形・地質への対策などが求められたためだ。
 試験施工は、約90mの区間で一般的な開削工法、もう一方はニューマチック・ケーソン工法で工費や工期、施工性を比較した。この知見が工事に生かされている。地層は、複数の帯水層と不透水層が重なり合っており、複数層の地下水を、井戸と通水管、地中連続壁の一部を取り壊すなどして流れ道を確保する。
◇JVの運営
 工事区間が1・8㌔もの長さになると、そこに従事する工事関係者も非常に多くなる。JVの職員だけで50人。協力業者は約30社、人員で約300人が、広大な敷地に散って作業を行っている。現場を統率する小土井所長は、「こうした現場では何よりもコミュニケーションが大切になる」と話す。工種、場所など、それぞれの持ち場同士での調整が一番重要だ。「理解・協調しないと、野球のフライでお見合いしてしまうように空白部分が生まれる」
 その解決のためには「親密な声かけが生きる」と小土井所長はいう。具体的には毎朝7時30分から「スタンドアップ・ミーティング」というJV職員が全員参加する打ち合わせを行い、当日の注意点やポイントを共有する。その後も、場内を自転車で回りながら声をかけるなど、「徹底的に話をする機会」を設けて、現場内の意識共有につなげている。
 掘割4工区すべてを統括する東日本高速の河島所長は、「4工区の施工者同士でもコミュニケーションをとっている。行政向けの書類作成や関係機関との折衝も、工区を越えて連携すれば全体がスムーズに動く」と冷静な判断で対応している。
◇工事概要
 ▽工事名=東京外環自動車道国分工事▽工期=2010年1月28日から15年3月2日▽受注者=鹿島・大林組JV
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月7日14面


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